木を読む-最後の江戸木挽き職人:林以一著:小学館

- 作者: 林以一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1996/10
- メディア: 単行本
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「木挽き」(こびき)職人の語り話です。
語り口が非常にきれいで読んでいて気持ちがいいです
きっと話をしたのをそのまま文面に起こしたのでしょう。
大鋸で木挽きをする職人はもう日本に10人前後しかいないとの事ですが
10年程前の本なので、現在は何人いるのでしょうか?
しかし人力で木を製材するというと効率が悪そうです
実際に木を加工してみて体験したのですが
機械で木を切ると香ばしい臭いがします
高速回転する刃との摩擦で木が焦げているんです。
一本、何千万円するような銘木でコレをやってしまったら
元も子もないですね。
また人間よりも長く生きた木を
切り倒し加工するという事に対して木へ畏怖の念を抱き接する事。
精神論や宗教っぽい話になりやすいんですが
自然崇拝、日本の場合は自然を恐れるような表現が多いと思います
人間が自然を征服するのではなく従順する立場にあるという考え
実際、日本の神社っていろんなものを祭ってありますよね
このような考えが日本流の自然保護だったんでしょうね。
ところが戦争や機械の発達で、従順服従のバランスが崩れて
山の神様なんてどっかいっちゃった。
日本の高樹齢の木は戦争の物資調達で相当数が切られ
艀になって海の藻屑となったそうです。
山の木を今の人間の生活や心になぞらえた話が多いです
技能一辺倒ではない広い目を持つ「職人」というのをを感じました。